2020.01.24
相続
相続税の申告をお手伝いさせていただく中で、被相続人が生前に住んでいた住居の売却のご相談が増えております。
近年、適切に管理されていない空き家が増加していることを背景に、政府は空き家を減少させるための様々な措置を設けてきました。
税制においても、平成27年度改正により相続により取得した空き家を売却した場合に所得税を軽減する改正が行われました。空き家を売却した際の所得税を計算する際に、一定の要件のもと空き家の譲渡益から3,000万円を控除できるようになりました。
また、平成31年度改正により、2019年12月31日までとされていた適用期限が2023年12月31日まで延長されることになりました。
平成31年度の改正点とセットで制度の適用要件を確認しておきます。
・被相続人が生前に一人で住んでいた昭和56年5月31日以前に建築された戸建てを、
・相続又は遺贈で取得した相続人が、
・相続が発生してから3年後の年末までに、
・1億円以下で、
・親族関係者以外の第三者に、
・建物に耐震基準に適合する補修を行い又は建物を解体して更地を売却した場合
が適用要件となります。(難しいのでかなり簡素に表現しました。)
平成31年度改正により、適用期限が延長されただけではなく、居住の要件についても被相続人が相続開始直前において老人ホーム等に入居していた場合(一定の要件を満たす場合に限ります。)も対象となりました。
適用要件の補足ですが、昭和56年以前築の古い建物にわざわざ補修を行い耐震基準に適合させることは現実的ではないため、建物を解体して売却のケースが現実的かと思います。
また、市町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書の添付など他にも細かい要件がありますので、税理士と売買仲介の不動産業者との連携も重要となります。
「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」を適用することができれば大きな節税に繋がることもありますが、適用要件が細かいため売却前から専門家に相談しながら進めるのが無難です。