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2023.09.14

相続

生前贈与の改正!どうなる相続税?

2024年1月1日から生前贈与に関する法律が大きく変わります。

相続税対策の王道として生前贈与による対策が広く使われてきましたが、この生前贈与に大きな改正が入ることになりました。

生前贈与による贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがありますが、この2つの課税方法が大きく変わることになるため、相続税対策の方針も再検討する必要が出てきました。

改正の要点は2つです。

①生前贈与加算が3年から7年に

暦年課税では、これまで被相続人の死亡前3年以内の贈与額を贈与がなかったものとして相続財産に加算する必要がありました。110万円以下の贈与額も加算する必要があります。2024年1日1日以後の贈与については、その加算期間が3年から7年に延長されました。ただし、死亡前4~7年前の贈与額については、総額100万円までは加算されません。加算期間が長くなるため、相続税の増税の内容です。

 

②相続時精算課税制度の基礎控除110万円の新設

相続時精算課税では、これまで基礎控除がなく通算で2,500万円までは贈与税がかからないかわりに贈与額全額が相続財産に加算されるという内容でした。生前にどうしても贈与しておきたいという事情があれば、通算で2,500万円までの財産を贈与税を負担することなく贈与できるため有効な対策でしたが、相続時には贈与額全額が相続財産に加算されるため、相続税対策として活用される場面はあまりありませんでした。

2024年1月1日以降の相続時精算課税制度を利用した贈与では、毎年110万円の基礎控除が設けられることになりました。相続時は、基礎控除を差し引いた累計贈与額を相続財産に加算します。基礎控除部分は相続直前まで加算されないことになるので、相続税の減税の内容です。

 

はい、ややこしいですね。

2024年以降、親の相続開始前7年間に親から子に毎年100万円を贈与した場合、いくら相続財産に加算されるか考えてみましょう。

■暦年課税の場合

相続開始前3年間の贈与額についての加算額 300万円

相続発生前4~7年前の4年間の贈与額についての加算額 300万円(400万円▲100万円)

加算額 300万円+300万円=600万円

 

■相続時精算課税の場合

基礎控除を差し引いた累計贈与額 700万円▲※770万円<0円

※基礎控除 110万円×7年=770万円

加算額 0円

ということで、相続税に加算される金額は暦年課税で600万円、相続時精算課税で0円ということになり、相続時精算課税制度を上手に利用することで相続税対策が可能となりました。これまで相続税対策で活躍機会のなかった相続時精算課税制度に活用の機会が出てきたため、これまでより生前贈与の方針決定の検討材料が増えました。

 

生前贈与による相続税対策は、推定被相続人の年齢、財産額、現預金や不動産などの財産の構成、ご家族の事情などによって対策の方針が変わってくるので画一的な方針はありませんが、今後の生前贈与を使った相続税対策をざっくりとまとめると次のようになるかと思います。

相続税対策を検討しており、子への生前贈与は年間100万円程度で検討している方は、基本的には暦年課税による生前贈与を開始し、自分の寿命があと10年程度かなというところで相続時精算課税による贈与にスイッチする方針がよいかと思います。(自分の寿命など誰にも分かりませんが…)

年間の贈与額100万円では相続税対策がとても追いつかない方は、将来発生しうる相続税額を試算し、相続税率よりも低い税率で暦年課税による贈与額を増やすという方針になってくるかと思います。暦年課税は加算期間が7年となったため、早期の対策がこれまでより重要になります。

 

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