COLUMN

2020.11.10

相続

家なき子特例とは?

被相続人と別居していたご家族から、相続により取得した被相続人が居住していたマンションを売却してもよいですか?

というご相談を受けました。

相続税が発生する場合、考慮に入れておく制度として「小規模宅地等の特例」があります。

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等については、一定の要件のもと土地の評価を330㎡まで80%減額できるという制度です。

この制度を使えるか使えないかによって、相続税の納税額が大きく変わってきます。

結論ですが、相続税の申告期限までに被相続人が居住していたマンションを売却してしまった場合は、小規模宅地等の特例が使えなくなってしまいます。

もともとこの制度は、被相続人の配偶者や被相続人と同居していた親族がこれからも住み続ける土地に相続税をかけるのは可哀そうだから土地の評価を80%減額してあげますね、という趣旨となります。相続税を納めるために自宅を売却しなければいけないという事態が発生しないように配慮された制度です。

ところが、この小規模宅地等の特例の制度は、被相続人の配偶者や同居親族以外の別居親族でも持ち家を持っていない場合は、小規模宅地等の特例を使えるケースがあります。

これが、いわゆる「家なき子特例」です。(家なき子特例というのは相続業界用語です。)

家なき子特例の主な適用要件は以下のすべてを満たした場合となります。

(1)被相続人に配偶者がいないこと

(2)被相続人に同居親族がいないこと

(3)相続開始前3年以内に国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族、取得者と関係のある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと

(4)相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと

(5)その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

 

少しややこしいのが、上記(3)の持ち家の判定です。別居親族である得者だけではなく、取得者の家族を含めて持ち家の有無を判定することになります。

適用までのハードルは高いですが、家なき子特例を使うことができれば相続税を大きく減額できます。

相続により取得した不動産の売却を検討する場合は小規模宅地等の特例の適用可否の確認が必要ですね。

 

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