COLUMN

2019.03.19

税務

配偶者控除改正の影響

平成30年分より所得税の配偶者控除及び配偶者特別控除が改正となりました。(住民税は平成31年度より改正)

お客様からも年末調整の還付が昨年と比較して減った、確定申告税額が上がったとの声が上がっています。配偶者控除に関する主要な改正部分を確認します。

夫が会社員、妻がパートの場合を例とします。

これまでは妻の年収が103万円以下であれば、夫は所得要件なしで配偶者控除として38万円の所得控除を受けることができていました。これが「税務上の壁」といわれる「103万円の壁」です。パートの妻は103万円の壁を意識して働き方を決めていました。

今回の改正で、夫の年収に所得制限が設けられました。平成30年より妻の年収が103万円以下であっても夫の年収が1,220万円(合計所得1,000万円)を超えると、夫は配偶者控除及び配偶者特別控除ともに受けることができなくなりました。つまり、高所得の方には所得税と住民税の課税強化の改正となっています。

一方、夫の年収が1,120万円(合計所得900万円)以下の場合では、夫は妻の年収が150万円以下であれば配偶者控除又は配偶者特別控除として38万円の所得控除を受けることができるようになりました。妻の年収要件が103万円→150万円と拡充されました。

しかし、社会保険のことを忘れてはいけません。「社会保険上の壁」といわれる「130万円の壁」「106万円の壁」が別にあります。妻の収入が130万円又は106万円を超えると妻は夫の社会保険の扶養を外れ、自身で社会保険に加入しなければなりません。社会保険料の負担は大きいため、こちらの「壁」を意識する妻が今後は増えるでしょう。

女性の社会進出の妨げといわれていた「103万円の壁」が「150万円の壁」に改正された訳ですが、「社会保険上の壁」はこれまで通りであるため、結局は103万円→150万円ではなく、103万円→130万円又は106万円という結論になりそうです。

会社を経営し、夫婦に役員報酬(給料)を支給している場合であれば、今回の改正を考慮に入れ、夫婦それぞれの支給額をリバランスすることで節税となり得る場合もありますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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