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2020.08.30

相続

自筆証書遺言書の保管制度が開始しました!

40年ぶりの相続法(民法の相続分野)の改正となりましたが、この改正により2020年7月10日より法務局による自筆証書遺言書の保管制度が開始されました。

これまで依頼者より遺言書の作成の相談を受けた際は公正証書遺言書を推奨していましたが、これからは自筆証書遺言書の選択肢が増えそうです。

公正証書遺言書を推奨していた理由は遺言の有効性です。遺言で一番大切なことは遺言の有効性と考えています。せっかく遺言書を作成しても遺言書の記載方法に不備があったり、第三者による偽造、紛失、盗難があれば、遺言の有効性がなくなるためです。公正証書遺言書であれば、公証人立ち会いのもとで遺言書を作成し、公正証書遺言書原本を公証役場で預かってもらうため、遺言者の死亡後に家庭裁判所での遺言書の検認手続きなしで速やかに遺言が執行できます。

しかしながら、公正証書遺言書を作成する場合は、公証役場の公証人との事前打ち合わせの手間、公証人の費用、家族以外の証人を2人準備しなければならないこと、などのコストが発生します。

今回、法務局での自筆証書遺言書の保管制度が開始されましたが、この新しい制度の特徴として遺言の有効性とコストの軽減が挙げられます。これまで自筆証書遺言書は記載方法の不備や第三者による偽造、紛失、盗難により、遺言の有効性が失われる場合がありましたが、これからは法務局で外形的(形式的)な確認をしてもらった上で自筆証書遺言を預かってもらえるため、自筆証書遺言書の有効性や安全性は格段に上がると考えています。また、保管制度の申請時に任意で死亡時通知の申し出をしておくことにより、遺言者の死亡後にあらかじめ指定しておいた相続人、受遺者、遺言執行人のうち1名に対して法務局より遺言書が保管されている旨の通知書が発行されますので、遺言書の存否の確認の意味でも安心材料にもなります。

今回の改正による法務局での自筆証書遺言書の保管制度は遺言書作成の際の証人も不要ですし、遺言者の死亡後の家庭裁判所での遺言書の検認の手続きも必要ありません。法務局への保管手数料は保管年数にかかわらず3,900円で、法務局にて収入印紙で納付することになります。公正証書遺言書作成の場合と比較し、手間も費用も大きくコストが軽減された内容となっています。

ただし、注意も必要です。自筆証書遺言書は証人や公証人の立ち会いなしで手続きを進めることができるメリットがありますが、逆に考えると外部機関の内容のチェックがないまま遺言書を作成することになります。自筆証書遺言書の保管制度はあくまで保管制度であり、遺言内容の正確性や遺言者の遺言能力を担保するものであはりません。遺言書を作成する場合、遺言者の死亡後に家族間で紛争が起きないように遺留分の侵害チェックや遺言内容に沿って相続した場合の各相続人の相続税額のチェックはこれまでと同様に配慮しておく必要があります。

 

出典:法務省HP

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