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2019.08.28

税務

積立NISA vs iDeCo(個人型確定拠出年金)

2019年6月3日に金融庁が発表した「老後資金2,000万円」問題が話題となっています。

近年、政府は個人の自助努力が必要なこの老後資金確保問題に対して、各制度を整備してきました。その中で、中長期の資産形成に税制上のメリットが大きい代表格の制度がつみたてNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)です。

両制度の特徴を比較してみます。

つみたてNISAが開始されたのは2018年1月からで、年間非課税投資枠は40万円となっています。投資対象は投資信託・ETFで金融庁が指定している商品に限られます。また、投資方法は「定期的・継続的な方法」に制限されていることが特徴で、年間40万円の範囲で好きな時に投資するということはできず、毎月1万円とか毎月3万円といった投資方法に制限されます。非課税運用期間が20年となっており、20年目ですべての保有金融資産を売却しても税金はかかりませんし、積立途中に急な出費があった場合に、いつでも売却(換金)できることが特徴です。通常、株式や投資信託の売却益には20%(所得税+住民税)が発生するのに対し、つみたてNISAの売却益は最大20年間非課税となることが税制上のメリットです。また、運用期間中の運用益も非課税(通常、分配金や配当金に対しては税率20%)となります。ただし、あくまで売却益や運用益が出た場合に税制上のメリットがあるのであって、値下がりして損切りした場合などは税制上のメリットはありません。

 

iDeCoは2017年1月に制度が改正され、主婦(夫)を含む20歳以上60歳未満のほとんどの方が加入可能となりました。iDeCoの最大のメリットは積立額全額が所得控除の対象で所得税・住民税が発生している人であれば確実な節税となるという点です。積立額は毎月5,000円から1,000円単位で、上限額は会社員、自営業、公務員など立場や加入している年金制度などで異なります。仮に会社員が年間24万円(2万円×12ヶ月)積み立てた場合、税率が30%(所得税20%、住民税10%)とすると、年間72,000円(24万円×30%)の節税となります。これを20年積み立てると144万円(72,000円×20年)の節税となります。低金利のこの時代、銀行でこれだけの積立預金の利息を期待することは難しいでしょう。また、運用中の利益も非課税(通常、分配金や配当金に対しては税率20%)、60歳になり積立額を受け取るときも一時金の場合は退職所得控除分割の場合は公的年金等控除の対象となり、出口も税金がかかりにくい仕組みとなっています。デメリットとしては、60歳までは原則引き出すことができないという点です。(積立ての休止は可能です。)投資対象は定期預金・投資信託・保険となっています。積立期間中は積立額、投資対象のスイッチも可能です。

 

中長期の資産形成という点では、両制度とも運用期間中の運用益は非課税ですので、効率的な複利効果が期待できる優れた制度であるため、両制度をバランスよく併用するのがベストだと思います。資金的な事情、時間的な事情を考慮する場合、節税、貯蓄性を重視の人はiDeCo、また換金性、投資性を重視の人はつみたてNISAから始めるのが適していると思います。

ちなみに私は投資商品の吟味に時間がない、投資商品の売り時がわからない、ある程度ほったらかしでもメリットがある、などの事情を考慮してiDeCoで積立中です。投資対象は投資信託を選定していますが、当面はほったらかしにしておく予定です。

 

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