2021.09.29
相続
相続税申告の際の財産の評価は、被相続人の相続開始日(被相続人が亡くなった日)における時価で評価することとされています。
財産とは被相続人が有していた預貯金、有価証券、不動産、家財など財産性のある資産すべてとなります。
各種財産の評価額の総額のうち、土地の占める割合は約40%といわれており、土地の評価によって相続税額が大きく変わってきます。
納税者にとって有利となる基本的な市街地の土地評価の考え方を整理してみたいと思います。
(1)時価 > 路線価の場合
路線価で評価します。
財産評価基本通達では、市街地の土地の評価は路線価での評価でよいこととされています。路線価は地価公示価格の80%程度とされているため、一般的には、時価 > 路線価のケースが圧倒的に多いため、土地評価の際は路線価を用いて評価する方法が結果的に多くなります。
(2)時価 < 路線価の場合
時価(不動産鑑定額)で評価します。
財産評価基本通達で適正に評価できない特別な事情(土壌汚染など)がある場合、不動産鑑定額を用いて評価する合理的な理由がある場合などは、不動産鑑定士による不動産鑑定額をもって評価額とすることができます。ただし、不動産鑑定額が税務署側で絶対的に是認される訳ではありませんので注意が必要です。また、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する場合、費用も数十万円~と費用の負担も発生しますので、慎重な判断が必要となります。
(3)申告期限までに土地を売却した場合
■売却金額 < 路線価の場合
売却金額で評価します。
売却金額を評価額とすることができます。ただし、売却金額に合理性があるかどうかの判断として下記の要素を充足しているかの確認が必要です。
・売却先は第三者か?
・不特定多数の者の当事者間での自由取引の場合に通常成立すると認められる売却金額か?
・課税時点(相続開始時)と売却時期が近く、地価等の市況の変動はないか?
■売却金額 > 路線価の場合
路線価で評価します。
路線価は財産評価基本通達によって定められている評価方法であるため、売却金額が路線価より高い場合であっても路線価による評価は可能となります。
納税者にとって有利な評価方法をまとめると、通常は路線価で評価、特殊な事情がある場合は不動産鑑定額での評価を検討、申告期限までに売却した場合に売却金額が路線価評価より低ければ売却金額で評価、となります。